DESIGNTIDE TOKYO

Arrow

アロウ

日本ではアルミニウムは、窓枠に見られるように他国と比べても建築資材として多用され、その結果安価な素材の代名詞的な素材ではあるが、この素材の持つ歴史や性質に着目するとこれまで見落としてきた魅力や価値に改めて気づく。特にアルミの押出成形品は、その平滑な面とシャープなエッジの連続が緊張感を生み、ただの量産品ではなく無機質を極めたミニマルな彫刻としての美しさすら感じる。

そこで私は、アルミニウムの押し出し材の持つ、歪みや個体差のない機械加工品の精度がもたらす美しさに、人の手による加工を加えることで二つの相反する美的価値が共存するプロダクトの開発を試みた。

Arrowは、量産品のL型プロファイルの両端をハンマーで叩き成形したシェードを特徴とするスタンドランプである。シェードの中に取り付けられたLEDライトの光がシェードの中で乱反射することで壁面をやわらかく照らす光へと変化し、その光の中にプロダクトのシルエットが浮かび上がるようデザインした。

一貫した機械加工によって生産される加工品を単なる素材ではなく機械加工でしか生産することのできない彫刻として捉え、そこにハンマーによる叩き出しのように数千年前から受け継がれてきたプリミティブな加工法を加えることで機械加工と手加工の調和と融合を図った。

岩元 航大

鹿児島県生まれ。
2009年神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科入学後、デザインプロジェクト「Design Soil」に在籍し、イタリアのミラノ・サローネを中心に海外の展示会に多数参加。
2016年スイスのローザンヌにあるアートスクールECALのMaster in Product Designを卒業後、2021年八王子市にクリエイターのためのシェア工房「スタジオ発光体」を設立。現在は国内外の家具ブランドとの商品開発やオリジナルの作品作りなど​精力的に活動を行っている。
2022年、エルデコジャパン・ヤングジャパニーズデザインアワード、同年メゾンエオブジェ・ライジングタレントアワード受賞。

https://www.kohdaiiwamoto.com/
EXHIBITION / AWARD
  • 2024 : design shanghai, Talents 2024, The Winner of Best Theme Design / Shanghai, China
  • 2022 : Young Japanese Design Talent, ELLE DECOR JAPAN / Japan
  • 2022 : Rising Talents Award by Maison & Objet / Paris, France