DESIGNTIDE TOKYO

Inflations

インフレ

以前、デンマークのライフタイルブランド / HAYの大阪ショップをデザインした時に、小さなバックヤードに収納できる展示什器が必要だということになり、塩化ビニール素材を触り始めた体験がこの取り組みのきっかけになっている。空気を入れて膨らませ、小さく畳んで収納できるアイデアを元に機能と構成を検証した際、空気に押し出され、皺を伴って表面が張り出す可愛い様相と、なかなかコントロールできない造形の深みにだんだんとハマっていった。今回もその時に見つけた感情の延長線上で造形の開発を進める事とし、色々な展開パターンを切り出して接合し、空気を入れて膨らますことを繰り返しながら少しずつ形の持つ魅力を観察し続けた。出来上がった造形に導かれるように座ること、体を預けるような機能を見出し、さらにその機能を満たすように造形を改変し、これらの家具とオブジェクトに辿り着いている。
昨今、プラスチックの使用総量が抑えられるということで、塩化ビニールという素材が改めて見直されてきた事もこのプロジェクトに注力する追い風となった事も付け加えておきたい。

Jin Kuramoto / JIN KURAMOTO STUDIO

1976年生まれ。1999年金沢美術工芸大学工業デザイン専攻卒業。国内大手家電メーカーにて工業デザイナーとして勤務の後、2008年に東京目黒に『JIN KURAMOTO STUDIO』を開設。プロジェクトのコンセプトやストーリーを明快な造形表現で伝えるアプローチで家具、家電製品、アイウェアから自動車まで多彩なジャンルのデザイン開発に携わる。素材や材料を直に触りながら機能や構造の試行錯誤を繰り返す実践的な開発プロセスを重視し、プロトタイピングが行われている自身の”スタジオ”は常にインスピレーションと発見に溢れている。
武蔵野美術大学非常勤講師、金沢美術工芸大学客員教授、東京藝術大学非常勤講師。

https://www.jinkuramoto.com/
EXHIBITION / AWARD
  • 2018: Good Design Award Best 100 / MOST chair, Japan
  • 2019: reddot design award best of the best 2019 / JIN chair, Germany
  • 2022: iF DESIGN AWARD / OFREE, Germany
  • 2023: Jin Kuramoto Live with materials / Design Galery 1953, Tokyo, Japan