DESIGNTIDE TOKYO

Foam Fiber Form

フォームファイバーフォルム

20世紀以降のテキスタイルの発展を振り返ると、織りのテクニック自体はほとんど変わらない一方で、繊維素材の量や質は劇的に変化してきました。技術革新が進む現代では、化学繊維の生産量が天然繊維を大幅に上回っています。多様な素材が存在し、それぞれの特性を活かして作品や製品を創造することが求められています。素材の理解と適切な活用が重要です。このような背景の中で、大量生産には向かない既存の天然繊維に新たな特性を加え、アップデートやアップサイクルの視点で革新を図ることができないかと考えました。その結果、生まれたのが本作品シリーズです。このシリーズでは、特殊な樹脂を繊維に混ぜ込み、「熱を加えると膨らむ」特性を持たせた綿糸を使用し、多重織りの技法を駆使して平面の布を立体的なオブジェクトに変化させています。異なるテクスチャーの素材や構造の組み合わせによって、質感や形状が多様に変化します。原始的かつ伝統的な手織り技法を用いながらも、このオリジナルの糸と工夫されたプロセスによって、さまざまな形態を生み出すことが可能です。この作品を通じて、従来の繊維素材では成し得なかった新しい織物の可能性を表現しています。

Yuki Hidano

1994年、埼玉県生まれ。2017年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻を卒業し、2022年まで同大学の工芸工業デザイン学科で助教として勤務。
様々な実験を重ねることで得た素材の知識や特性を独自の視点で活かし、作品制作に取り組む。主に手織りの技法を駆使し、原始的かつ伝統的な制作方法に基づきながらも、織りの構造や組成を工夫することで、機械化された大量生産の織物とは異なる、手作業でしか得られない自由さと独創性を持った多様な形態の作品を展開している。

https://yukihidano.com
EXHIBITION / AWARD
  • 2024: FUTURE DAYS at MAGMA GALLERY / Tokyo, Japan
  • 2024: Window display for THE NORTH FACE Sphere / Spring Has Sprung, Tokyo, Japan
  • 2023: MIYOTA DESIGN WEEKEND / Nagano, Japan
  • 2023: 'Yuki Hidano' Solo exhibition at Blumo / Fukuoka, Japan
  • 2021: Dutch Design Week 2021 / HOW&WOW BASK IT!, Eindhoven, Netherlands